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GC学部の学部講義科目「グローバル化と言語」で兵庫県国際交流員3人が講演しました。
2025.12.08
グローバル・コミュニケーション学部の大濱慶子教授が担当する学部講義科目「グローバル化と言語」の授業で12月3日、兵庫県国際交流員の3人が日々の業務や日本語や日本文化に興味を持ったきっかけ、日本語をどのようにして習得したかなどについて流ちょうな日本語で講演しました。

3人は、中国・広東省出身の李霞(リ・カ)さん、韓国・大邱(テグ)広域市出身のイ・ダビンさん、米国ワシントン州シアトル市出身のシューネル・アンナさんです。外国青年招致事業(JETプログラム)を通じて来日しました。兵庫県産業労働部国際局に配置され、通訳、翻訳のほか学校や公民館での講演、交流イベントへの参加などの業務にあたっています。
■「電話対応は難しい」李霞さん
李霞さんは、昨年度に続いての講演です。学生時代、武蔵野大学に交換留学した経験があります。香港やマカオに近い広東省の気候は「冬は2カ月くらいしかなく、年中半袖半ズボンで過ごす人もいる」ような暖かさ。日本語を勉強したのは「英語のほかに新しい言葉を学びたかったから。日本は中国と古くから関係が深く、漢字文化も共通しています」と理由を述べました。

日本語の勉強はアクセントを間違えないように工夫したほか、ドラマやバラエティー番組で出演者のセリフを影のように追いかけて口に出してみる「シャドウイング」で練習したといいます。アルバイトで客対応や商品紹介をする同僚のまねをしたのも上達につながりました。
今の仕事で難しいのは電話対応。先日も「鹿児島の国際課です」と言われたのを「加古川の国際課」と聞き間違える失敗があったのが苦い思い出だといいます。通話の際の雑音や相手の方言もあり、「聞き取れないこともあります」と語りました。
日本での生活で中国との違いとして挙げたのは①キャッシュレスの中国と対照的に支払いには現金が幅広く使われており、割勘の場合など小銭の計算がややこしい②サービス業では店員の対応がすごく丁寧③昼寝が当たり前で時間も長い中国に比べ昼休みが短い――などでした。
広州市でお薦めの場所は永慶坊。中国ではやっているものとして、POP MART(店のブランド)の雑貨、ミルクスキン入りフルーツあめのタンフールー、ぬいぐるみなどになっているキャラクターのLABUBU(ラブブ)、チャイニーズラップ(ラップ音楽)を挙げました。
■「日本語表現は遠回し」イ・ダビンさん
イ・ダビンさんは大学の日本語関連学科を卒業し、税務関係の仕事についたものの転職を決め、友人の勧めでJETプログラムに応募しました。神戸に来たのは故郷の大邱とは姉妹都市だったからです。

日本語の勉強を始めたきっかけは、「小学校の友人がアイドルグループ『嵐』のファンで影響を受け日本のドラマも良く見ていたから。日本の文房具にも興味があった」からだといいます。
海外に出るのが怖くなかった理由は「人間が住んでいるところだから大丈夫」だと家族から言われていたこと、高校生の頃に山形に修学旅行に行ったり、インドネシアのボランティアに行ったりしたからだといいます。
日本での生活を通じて感じる長所はトイレがきれいで秋が長く、プライバシーを尊重してくれることなどを挙げました。一方、短所としては、職場にパーテーションがないことや、温暖な気候のせいか見かける虫(害虫?)が韓国より大きいこと、床暖房の多い韓国より家の中が寒いこと、家賃や生活費が高いことを挙げました。
日本語を勉強して難しかった点は、漢字の多様な読み方、キラキラネーム、遠回しの言い方、カタカナ語の英語、敬語、方言と、たくさん。「話せるようになってから文字を勉強した」といい、日本語は韓国と語順が同じで互いに学びやすいことも紹介しました。やはり日本のドラマやアニメ映画を見て単語や文章を覚え、言語交換アプリも使って勉強しました。
最後に韓国のハングル、漢字使用の歴史を説明し、最近は漢字の使用はほぼないことも紹介しました。
■漫画でシアトルを紹介 シューネル・アンナさん
最後に登壇したシューネル・アンナさんは今年8月に着任したばかり。大学では日本文化と言語を勉強しました。故郷の紹介でよく間違われるのか、「ワシントン州はワシントンDCとは違います。西海岸の一番北側にあります」と述べました。州最大の都市・シアトルは雨が多く、スターバックスコーヒーの発祥地で、サーモンやリンゴが名産です。漫画を描くのが上手で、シアトルを紹介するイラストで腕前を見せてくれました。

日本語を勉強したきっかけは、ポケモンやファイナルファンタジー7など、日本のゲームや漫画を家族と楽しんでいたからだと言います。兵庫県とは姉妹友好関係にあるワシントン州の図書館には日本の漫画や絵本も配架されていたので日本を身近に感じていました。中学時代から日本語や日本文化を独学で勉強し、高校生の頃に東京、京都、姫路城などを2週間かけて旅行したほか、2023~24年には横浜に11カ月留学しました。
日本の生活で大好きなのは「国民皆保険制度」。米国では医療費がすごく高いそうです。治安が良く、人が優しくて他人でも手伝ってくれること。「函館に短期留学した際に、そばアレルギーで倒れたら近くを歩いていた知らない人が助けてくれました」。さらに、道がきれいで、食べ物がおいしく、家賃も安いと色々ほめてくれました。
逆に苦手なのは混んでいる電車、ごみの分別の難しさ、夏の暑さ。電車を降りる人が声もかけずに黙って(人を押しのけて)動くこと。断るときに、英語の表現のように「できない」「ノー」とはなかなか言わないので分かりにくいことなど、たくさん。「外国人」という表現が多いのも気になる点。日本には外国にルーツを持つ子どもも多いので、差別を防ぐためにも別の言葉を使ったほうが良いのではと伸べました。
最後に受講生から「好きな日本語のワード(言葉)は何ですか」と質問が出ました。シューネルさんは「好きな漢字は雨。シアトルも雨が多いです」と回答。李霞さんは「擬音語、オノマトペ。雨もシトシト、ザーザーいろんな降り方があるから」。イ・ダビンさんは「日本語の響きがかわいいです」と答えました。

学生からは、「3人の日本語がとても流ちょうで、国ごとに異なる価値観を知ることができ大変興味深いものでした。日本の生活で感じたことを率直に語ってくれたことで、別の角度から見直す機会にもなり、国際交流への関心がさらに高まりました」、「語学を学ぶ姿勢や異文化理解の大切さについて多くのことを学ぶことができ、とても貴重な時間になりました。将来の仕事に生かしたいです」などの感想が寄せられました。
神戸学院大学 グローバル・コミュニケーション学部
