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【GC学部が元FAOアフガニスタン事務所職員の講演会を実施しました】

2025.07.11

グローバル・コミュニケーション(GC)学部は7月9日、元国連食糧農業機関(FAO)アフガニスタン事務所職員、サイラー・バイロンさん(米国籍)の講演会をポートアイランド第1キャンパスで実施しました。GC学部と現代社会学部の学生が多数参加しました。

演題は「中村哲医師、アフガニスタンと日本の人々:フィール・グッド・ストーリー」。中村医師はパキスタンとアフガニスタンで医療・農業支援を行う日本のNGO「ペシャワール会」の現地代表として医療活動にあたり、干ばつに苦しむ人々のために自ら重機を操縦し、巨岩を動かすなどして困難な用水路の建設事業を成し遂げました。しかし、2019年に何者かに狙われ銃弾に倒れました。

サイラーさんは米ネバダ州にある小さな町出身です。20歳で来日して神戸の大学や大学院で学び、九州の大学で教えた経験もあります。帰国して日本の外務省にあたる国務省職員となり、開発担当の外交官として紛争地のアフガニスタンに派遣されました。

2年後にアジア開発銀行、UNOPS(国連プロジェクトサービス機関)、FAOと勤務先を変えていったものの、派遣されるのは常にアフガニスタン。民族紛争や大国の派遣争いの舞台の国にあって「日本は援助額が大きく、敵を作らないので現地ではとても評判がいい」と、現地の対日感情を語りました。

紛争当時国や貧困国への海外からの人道援助と開発援助との関係については時間の経過とともに人道援助額は減り、逆に開発援助額が増えるというグラフを示し、「人道援助だけでは現地の人の依存度を増すばかり。援助国にとっては何の得にもならない。道路や病院、飛行場の建設などの開発援助を増やさなければ」と述べました。

■かんがい事業の「フィール・グッド・ストーリー」
後半は政府開発援助(ODA)を実施するJICA(国際協力機構)と、民間の団体の関係について。JICAが援助できるのは外国の政府機関で、民間部門にはには援助できないことを紹介。FAOを通じて中村哲さんが医療、農業、かんがい用水路事業を現地で実施するため設立した「PMS(ピース・ジャパン・メディカル・サービス)」に日本からの援助が提供されたことを紹介しました。

講演すサイラーさん
講演するサイラーさん
開発援助について語るサイラーさん
開発援助について語るサイラーさん
「フィール・グッド・ストーリー」について話すサイラーさん
「フィール・グッド・ストーリー」について話すサイラーさん

アフガニスタン東部のナガハリ州ガンベリ砂漠におけるPMSのかんがい事業を勇気と熱意を持って実施した中村医師の尊敬すべきプロジェクトの物語はテレビや新聞を通じてしばしば報じられました。これは、援助を可能にした日本の納税者に対する「フィール・グッド・ストーリー」なのだという説明でした。

「フィール・グッド・ストーリー」とは、各国政府などが納税者である国民に援助資金の成果や活動、費用対効果を報告する際に現地の人々にどのように歓迎されているかを映像や記事などの物語で見せる汎用的な手法だとされます。「援助金の正当性をアピールし、国と国民の誇りやイメージの向上に寄与し、国民に間接的な国際協力に参加していることを感じてもらう」などの効果があるとサイラーさんは説明しました。

最後に学生との質疑応答がありました。「日本はなぜそんなに多くの海外支援をするのか」との問いにサイラーさんは「日本は真面目で外圧に弱いからです。日本は頼みやすい。なかなか援助してくれない国に比べて損をしていると思います」と答えました。

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